日本釀造協會雜誌
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着色の条件について
麹の着色に関する酵素学的研究 (第2報)
村上 英也上野 伸河合 美登利竹越 俊雄大井 健徳
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1957 年 52 巻 8 号 p. 651-645

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抄録

麹の着色を研究する方法として, 先ず醸造原料より着色に関係する酵素を抹殺するための条件を検索し麩を原料とする場合151bs 60分の加熱処理によることを適当と認め, 之に種々の麹菌を培養して麹浸出液の着色及び之を放置後の着色の増加 (進行度) を測定比較し, 菌株により相当の差のあることを認めた。而して米を原料として同様処理したものに麹菌を培養してその水浸出液を比色し, 米麹の着色と麩麹浸出液の着色就中その着色進行度とは高度の相関があることを知り, 之を用いて着色に対する種々の条件を検討した。その結果は次の通りである。
(1) 培養時間は長い程着色は濃化するが着色進行度は50~60時間を最大とする。
(2) 培養温度は32℃ 附近に於て着色及び進行度共に大であるが, 41℃ に於ても激減しない。
(3) 培養時の水分量 (原料に対する撒水率%で示す) は120%の時液の着色が最大であるが着色進行度は60%以下の時最大である。
(4) 麹の浸出は水を用いpH5~6で3時間行うとき着色進行度大である。NaClやAlcoholによる浸出はその濃度の高きに従い着色進行度小となるが, Alcoholは9。%でも全く進行の停止することはない。
(5) 麹浸出液の着色の進行度はpH5~6, 温度10~40℃, H202濃度0.25%(液中濃度0.025%) の時大である。又これは浸出濾過の後3~4時間の間が最大で以後の進行は緩慢となる。

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