日本釀造協會雜誌
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醸造用水の水処理について (第1報)
広瀬 竜也
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1959 年 54 巻 2 号 p. 118-115

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抄録

1) 処理水は濁度0~3 (水道水並), Fe2O3は痕跡程度に, SiO2は約半分除去出来た。水中のSiO2はion状のものとColloidalのものとあり薬品添加による方法ではColloidalのものしか除去出来ない。
2) 酵素作用, 醗酵作用を阻害し, スケールの成因となるFe2O3, SiO2成分が除去される事は好ましく, SiO2成分の水中に於ける結合状態が未だ明確ではないが, 醸造用水としてSiO2成分があまり重要視されていないが再考する必要がある。
3) 水処理を行つた結果, 使用水量が節約出来る。従来は約1500t/day使用していたが, スケールの付着が見られなくなり, 約950t/day程度に節約出来た。(勝目先生はアルコール工場に於ては, 1日の仕込醪量に対して約10倍量が使用水量であると言われる)。
4) 蒸溜機のCondenserより出る廃温水は従来は1部Boiler給水に使用したが, 他は全部捨てていたが, 現在は廃温水をそのまま壜, 瓶の洗滌水として使用出来る為, 相当な熱経済となる。(詳述は後報)
5) 冷却効率がよくなり作業時間の短縮, 蒸溜機の均一蒸溜等, 作業が非常に楽になる。
終りにこの報告に際し御校閲を賜つた山田先生, 御指導と御助言を戴いた勝目先生, 松林先生, 又当研究室, 成田, 岡田両君, 又発表を許可された会社役員に厚く御礼申上げる。尚本報は昭和33年10月25日の日本農芸化学中部支部例会に於て発表した。

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