日本釀造協會雜誌
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マロラクチック発酵に関する研究 (第3報)
リンゴ酒製造におけるマロラクチック発酵
原 昌道大塚 謙一
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1966 年 61 巻 6 号 p. 543-545

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抄録

L.arabinosusのリンゴ酸適応菌体を使用してリンゴ酸を含まないリンゴ酒の製造法を検討した。
1) リンゴ酸誘導菌体がリンゴ果汁に添加されると, 果汁中のリスゴ酸はほぼ定量的に分解して乳酸に変わる。
2) 果汁中に添加された乳酸菌の増殖はSO250ppmの濃度で阻害される。
3) MLFの最適温度は15~20℃ である。
4) SO2は60PPm以上の濃度でリンゴ果汁でのMLFを強く阻害する。
5) これらの結果からリンゴ酸適応菌体を用いたリンゴ酒の製造法は次のとおりである。SO240ppmと0.1%クエン酸を含むリンゲ果汁に菌体を約107/mlになるよう添加し, 15℃ に放置してまずMLFを起させる。果汁中のリンゴ酸が完全に分解した時にSO280PPmと酵母 (OC.No.2) を添加し, 15℃ でアルコール発酵をおこなう。この方法でリンゴ酸を含まないリンゴ酒を製造することができる。

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