日本釀造協會雜誌
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清酒の味覚に関する研究
(第1報) 因子分析法の適用
佐藤 信嶋田 三夫矢原 正
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1967 年 62 巻 5 号 p. 506-511

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抄録

1. 目的清酒の味覚は, ゴクミ, ザツミなど, 約50に近い言葉で表現されている。しかし, これらの言葉で表現される官能特性の間には相関があって, 清酒の味覚の構造を理解する上にかえって複雑さを増している。
そこで, 清酒の味の構造を, なるべく単純な形で理解する為に, 因子分析法を適用して, その溝造を決定するのが第1の同的である。
さらに, 清酒の味覚の代用特性として, 比重, 酸量などの化学成分値が用いられているが, これらの成分値と味覚構造との関係が明らかではないので, その関係を明らかにすることが第2の目的である。
2. 方法市販清酒30種について, ゴクミ, ザツミなど16項目の官能特性について, 採点法による官能検査を行ない, また, pH, 酸量など8項目の化学成分を測定し、これらのデータについて, 重心法による因子分析法を適用する。
3. 結果官能特性値のみのデータについて因子分析法を適用したところ, 第3因子まで共通因子が抽出され, 第1因子は “濃サ” に関する軸, 第2因子は “キレイサ” に関する軸, 第3因子は原味に関する軸と解釈された。
また, 化学成分値を加えたデータについて適用したところ, さらにもう1つの困子が抽出され, これはアミノ酸に関する軸と解釈された。
以上の結果より, 清酒の味覚の構造を最も単純な形で示すならば,“濃サ”,“キレイサ”,“原味 (酸味, 苦味, 塩カラ味, 渋味)” の3次元で表現することができると考えた。

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