1974 年 69 巻 9 号 p. 603-605
火落菌の発育に及ぼすpHとアルコールの影響を清酒を用いて検討した。
1) 各アルコール濃度での発育をpH4.00からpH5.30の間で行なった。pHが高くなるにつれて発育量も多くなり発育限界アルコール濃度も高くなる。
2) もろみ日数が長くなると発育しやすくなる, これはpHが高くなることと, 百瀬らりの報告にもあるように濾液にgrowth factorが多く蓄積されるためである。
3) 現在の清酒は短期もろみでpHが低いことから長期もろみ時代の火落菌のmicrofloraとは異なり特に現在の清酒には火落性乳酸菌が発育しにくいものと推察した。
4) 現在の清酒のpHは4.10-4.40であり450以上はまれである。30日間位の長期もろみ時代の昔の酒のpHは4.70-5.00であったと推察した。