1978 年 73 巻 4 号 p. 301-303
真性火落菌が高エタノール濃度で酵母エキスを要求することを前報1) で認めたので本報ではヘテロ発酵型真性火落菌No.59を用いて酵母エキス中の有効成分の性状について検討した。
1) 有効成分はpH3.0以下, pH10.0以上で120℃, 2時間加熱すると効果が認められなかったぴ
2) 有効成分は透析性で, エーテルに抽出されなかった。
3) 有効成分は活性炭素, 強酸性陽イオン交換樹脂によく吸着された。
4) pH3.0及びエタノール70%における沈澱物に効果は認められず上澄液に有効成分が認められた。また灰分中に効果は認められなかった。
5) 酸性処理とエタノール処理をした上澄液のDowex 50W-X16-吸着区分を0.5N・NH40H で溶出しSephadex G-25のカラムに加え0.02N酢酸で流した。各フラクションを銅-Folin法による発色に供し, 生育を試験したところ20~37番のフラクションに効果が認められた。
6) これらの諸性状から酵母エキス中の有効成分はペプチドであると推定した。