日本釀造協會雜誌
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清酒の木香様臭に関する調査結果について
秋田 修北野 一好五味 勝也内山 幸二奥田 利光石井 徹古市 明紀原田 哲夫西川 久雄佐藤 信
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1980 年 75 巻 7 号 p. 595-602

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抄録

関東信越国税局管内の清酒製造場を対象として, 木香様臭と呼ぼれている香りの発生に関する調査を行い, 以下のような結果を得た。
1. 製成酒の官能検査による木香様臭強度とアセトアルデヒド含量との間には高い相関 (r=0.894, n=19) が認められ, 木香様臭の主体がアセトアルデヒドであると推定された。
2. 木香様臭強度と製造要因との関係では, もろみへのアルコール添加条件と高い相関が認められた。
木香様臭強度およびアセトアルデヒド含量と, アルコール添加後のアルコール度数, アルコール添加前後のアルコール度数増加量, もろみ品温と添加アルコールの温度差, アルコール添加から上槽までの日数は正の, アルコール添加時のもろみ日数, 日本酒度とは負の, それぞれ有意の相関が認められた。
3. 本香様臭強度, アセトアルデヒド含量を目的変数, 製造要因を説明変数として重回帰分析を行った。
木香様臭強度は, アルコール添加によるアルコール度数増加, アルコール添加後のアルコール度数, 酒母歩合, アルコール添加前の原エキスの4変数で, 77.2%の説明変動率 (寄与率) が得られた。またアセトアルデヒド含量は, アルコール添加によるアルコール度数の増加量, 酒母歩合, 麹歩合の3変数で, 77.2%の説明変動率が得られた。
4. 製成酒のアセトアルデヒド含量は, 30℃90日間の貯蔵により最高24ppm減少したが, 貯蔵後も含量の多いものは官能検査により木香様臭を指摘された。
5. 活性炭によるアセトアルデヒドの除去を試験したが除去効果は小さかった。

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