日本釀造協會雜誌
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こうじ菌の生産する抗菌性物質に関する研究
中田 久保坂井 劭竹田 正久塚原 寅次
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1980 年 75 巻 9 号 p. 761-764

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抄録

1.こうじ菌の生産する抗菌性物質“Yeastcidin”は, Aspergillus oryzaeのある種の菌株をこうじ汁に静置培養した時のみ生産する清酒酵母以外の醸造酵母の増殖を抑制する抗菌性物質である。
2.合成培地や市販糖化酵素剤による蒸米の糖化液にこのこうじ菌を培養しても“Yeastcidin”は生産されない。
3.本物質“Yeastcidin”を生産させるためのこうじ汁に用いるこうじ米の精米歩合, 製きく時間, こうじ汁濃度等に差異をもうけても生産量に影響はない。
4.こうじ汁のpHは5.0~6.5の間が最も抗菌力を強く示し, 通常のこうじ汁ではpH調整の必要はなかった。
5.培養温度については27~30℃の間が最も強く生産し, 培養日数は15~20日間を要した。

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