日本釀造協會雜誌
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耐塩微生物の生育と酸化還元電位について
酸化還元電位に関する研究 (第1報)
東 和男山本 泰好井 久雄
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1985 年 80 巻 4 号 p. 270-273

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抄録

耐塩性乳酸菌, 耐塩性酵母の生育した培養液の酸化還元電位 (ORP) の関係について検討し, 次の結果を得た。
1) P. halophilusは液体培地においてrH 10-16の範囲で, ほぼ良好に生育した。チオグリコール酸ナトリウム無添加区では対数期にORPは低下したが, 定常期に上昇し, またチオグリコール酸ナトリウム添加区では対数期のORPは変動せず, 定常期にやや上昇した。
2) S. roxiiの液体培養の際のORPは, 対数期の前期は低下したが, その後は一定の値を示し, rH 9近辺で良好に生育した。
T. vemlilisの液体培養の際のORPは, 対数期の前期は急激に低下したが, その後は徐々に低下を続け, rH 13-15で良好に生育した。
3) P. halophilusは寒天培地において10日間培養後にrH 11-13となり, 生育に適したORPが保持された。
耐塩性酵母の寒天培地における生育は, pH低下の様相から液体培地におけると同様にS. roxiiは酸化状態, T. versamsはより還元的状態で良好となることが判明した。

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