日本釀造協會雜誌
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メタ重亜硫酸カリウムを添加したワインの全-SO2に対する遊離-SO2の占める割合
ワイン醸造におけるSO2の有効利用に関する研究 (第16報)
渡辺 正平飯野 修一
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1987 年 82 巻 7 号 p. 505-510

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抄録

ワイン貯蔵中のSO2管理に有効なワイン中のF-SO2及びB-SO2の割合に関する基礎的資料を得る目的で種々のワインに所定量のSO2を添加して検討を加え, 次の結果を得た。
1.品種別新酒ワインにSO2100ppm添加した場合, 増加したT-SO2に対するF-SO2の占める割合は, 赤ワイン6種の22.0-28.0%に比べ, 白ワイン6種の28.9-46.2%の方が高かった。またSO2 200ppm添加するとその割合は, SO2100ppm添加区に比べ倍程度高くなった。
2.醸造年度別ワインに添加したSO2量の多いほど, T-SO2に対するF-SO2の占める割合は, 徐々に高くなる傾向が顕著にみられ, SO2100ppm添加した場合, Kワインで約80%及びMAワインでは約70%であった。
3.種々の濃度のSO2受容体3成分を含む, 醸造年度の異なるワインにSO2を添加した結果, それぞれのワインに含まれるF-SO2の割合に大きな違いは認められなかった。このことから供試ワイン中のF-SO2とBSO2の量は, ほぼ平衡に近い状態にあるものと推測された。
4.国内及び外国産ワイン160点の各試料にSO2100 ppm添加し, そのF-SO2及びB-SO2の動向について調べた結果, T-SO2に対するF-SO2の占める割合は, 白ワインでは約80%であり, 赤ワインは60~70%の範囲であると見做された。
5.供試ワイン160点のうちに, F-SO2の占める割合が0-41.7%と顕著に低い異常値と思われる8点のワインが見い出された。これはワイン中のSO2受容体のうち, 特にSO2結合能の高いAcH含量が異常に高いことが主因と考えられた。
終わりに, 本研究にご指導を賜わりました山梨大学後藤昭二教授並びに本稿のこ校閲を賜わりました山梨大学小原巌名誉教授に深謝します。

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