日本醸造協会誌
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CIE表色系を用いた清酒の色彩測定
向井 伸彦木曽 邦明
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キーワード: 清酒, 色彩, CIE表色系
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2005 年 100 巻 8 号 p. 588-595

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抄録

CIE表色系を用いた清酒の色彩測定を行った。古酒の色彩値を測定し, 着色度と非常に高い相関がみられたのは, L* (明度), 黄色方向の色度を示すb*, C* (彩度), Y (反射率), x及びy (色度) であった。古酒に関して, 着色度の値から各表色値L*, a*, b*, C*, h, Y, x及びyを計算式で推定することができた。現行の着色度は黄色方向の色度, 明度及び彩度を反映していると考えられる。メラノイジン0.0001~0.2%溶液の色彩は, xy色度図において上に凸の曲線にて示された。古酒についても, xy色度図においてメラノイジン溶液と同様の挙動を示した。古酒の色の差異は褐変物質の量の多少によることがあらためて示唆された。アデニン要求性酵母の利用や紅麹の利用による赤色清酒の色彩は, CIE表色系を用いることで的確に捉えることができると考えられる。市販古酒35点を色彩値L*a*b*を用いてクラスター分析したところ, 淡色タイプ, 中間タイプ, 濃色タイプの3群に分けることができた。CIE表色系による清酒の色彩測定は, 色彩を的確に捉えることができることから有効であると考えられる。

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