日本醸造協会誌
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清酒経験, 清酒摂取時の摂食状況, 咽下の有無が清酒の嗜好に及ぼす影響
眞鍋 康子宇都宮 仁伊豆 英恵木曽 邦明伏木 亨
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キーワード: 清酒, 嗜好, 生理的変化
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2007 年 102 巻 12 号 p. 897-906

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抄録

清酒の嗜好を検討するため, 清酒の飲酒及び評価経験に応じて被験者を分け, 咽下を伴わない口腔内刺激による嗜好評価試験, 1時間の飲酒試験の二つの方法により検討した。さらに, 生理的嗜好を反映していると考えられるラットの清酒の嗜好とヒトの清酒の嗜好との関連性についての検討を行った。その結果,
(1) 清酒製造業に携わり, 官能評価の経験を有する被験者群においては, 口腔内刺激による清酒の嗜好と飲酒試験による摂取量比に基づく清酒の嗜好がほぼ同じであり, これらの嗜好はラットで観察される嗜好とは異なっていた。
(2) 清酒経験が浅い被験者群においては, 空腹状況下では口腔内刺激による嗜好と飲酒試験の嗜好が異なっていた。一方, 飲酒開始30分以降の清酒の嗜好はラットの清酒の嗜好と相関しており, 飲酒により嗜好が変化することが示された。
(3) 摂食後の飲酒試験においては, 清酒経験が浅い被験者群でもラットの清酒の嗜好との相関は観察されず, 嗜好変化は空腹状況下に特異的に観察される現象であることが明らかになった。

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