2008 年 103 巻 2 号 p. 85-93
微生物の体内では様々な代謝経路を経て代謝産物が産出されている。これらは微生物の増殖や, 温度, 酸素, 栄養などの影響を受け刻々と変化する。ゲノムには代謝活動の全ての情報が記述されているが, 醸造という代謝産物生産を改良・開発するためには, いつどの場合に遺伝子が発現し情報が使われるのか, 代謝の流れを何が制御しているのかを解明しなければならない。メタボロ上ム解析は, 代謝中の低分子化合物を網羅的に解析し, トランスクリプトーム解析はその際の遺伝子発現状態を解析する技術である。
筆者の研究は, これらの解析を酵母の育種にまで繋げた。今後の醸造研究のモデルとなるものである。