日本醸造協会誌
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清酒麹菌のタンパク質でガンを診る
松村 憲吾
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2008 年 103 巻 8 号 p. 581-585

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抄録

近年, 筆者らは麹菌からフコース特異的レクチン (AOL) を発見した。このAOLの性状を詳しく調べた結果, キノコ由来のフコース特異的レクチン (AAL) やレンズ豆レクチン (LCA) よりも癌性変化で付加されるフコース残基を特異的に認識することが判明した。肝細胞癌の患者では癌性変化により糖鎖にフコースが結合したα-フェトプロテイン (AFP-U) が特異的に検出される。実際に肝細胞癌の診断では正CAを用いたレクチン親和性電気泳動によってAFP-L3の検出が行われるが, 診断の精度を上げるためには癌性変化に見られるフコース残基をより特異的に認識するレクチンが求められる。
本稿ではAOLの特性についてこれまで得られたデータを中心に解説していただいた。

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