日本醸造協会誌
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酵素法によるワイン中のD-リンゴ酸の定量
竹内 潔島津 善美
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1992 年 87 巻 12 号 p. 927-929

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抄録

新しく開発されたD-リンゴ酸の酵素法分析キットを用いてワイン中のD-リンゴ酸の直接定量を試みた。サンプル前処理法としてはメーカーマニュアルに基づくCa (OH) 2中和法では充分な回収率が得られなかったのに対し著者らの改良したNaOH中和法で良好な回収率が得られた。定量限界はキュベットあたり20~25μgと考えられた。これに相当するワイン中のD-リンゴ酸濃度は白ワインで0.1g/l (サンプル量0.5ml) 赤ワインで0.2g/l (サンプル量0.2ml, 各2倍希釈) であり実用上充分に鋭敏な定量法であることを認めた。定性的には10μg/cuvettで確実に判定可能であった。LC法によるD, L-リンゴ酸総量から酵素法によるL-リンゴ酸量を差し引いて求める従来法との比較も行い, 本法がDL-リンゴ酸の添加の有無の定性確認及び添加された量の算出に役立つことが確かめられた。さらに精度及び迅速性, 簡便性, 確実性, 分析コスト等の面において優れていることが示された。

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