日本醸造協会誌
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清酒香気成分添加の香味への影響
吉沢 淑鈴木 大介進藤 斉角田 潔和小泉 武夫
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1997 年 92 巻 3 号 p. 217-223

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抄録

(1) 清酒の主要な香気成分とその類縁物質をモデル清酒に添加し, その酒質への影響をプロファイル法を用いた官能評価により調べた。
(2) モデル清酒のアルコール分が高いと, 添加香気物質の香りへのマスキング効果が大きくなった。
(3) 酢酸イソアミル, カプロン酸エチルなどのエステルや高級アルコール, ソトロンなど多くの物質がモデル清酒の上立香や含み香を増強させ, 果実様香, エステル様香, 老酒・シェリー様香, 焦臭などを付与, 増加させた。一方, パルミチン酸エチルは上立香を低下させた。
(4) これらの物質の多くはモデル清酒の味を変化させた。中でも酢酸イソアミルは甘味を, 酢酸フェネチルは酸味を顕著に増強した。
(5) 顕著な効果を示した物質を2種類組み合わせて混合添加した試料の香味は複雑な変化を示した。

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