日本醸造協会誌
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古代エジプト古王国時代ビール復元
石田 秀人
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2003 年 98 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

本稿は, 古代エジプトの壁画に表されたビール造りを再現実験によって意味付けを行う実験考古学的アブローチを用いて, 古代ビールを復元した貴重な研究である。復元された古代ビールは, アルコール分約10%, 高い乳酸濃度のためボディーがあり, 白ワインに似た味のものであった。筆者は, この研究によって, パンを粥にしたものからビールが出来たとする従来の自然発酵説を否定し, 乳酸を含むサワーブレッドを用いることによる静菌作用が, 酢酸発酵を防止しビール製造に必要であったとしている。この乳酸による静菌技術は, 日本酒の生翫造りだけではなく, 開放発酵系の酒造りに必要な共通技術であるとする等, 非常に興味深い内容である。

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