2003 年 98 巻 4 号 p. 241-250
ウィスキーの製造工程全般にわたり酒質に及ぼす影響を検討したところ, 乳酸菌がモルトウィスキーの新規香気成分生成に関与することを解明した。乳酸菌は, 従来汚染菌として発酵停止やオフ・フレーバー生成の原因となることは知られていた。一方, 新しく他の微生物と協調してファッティな甘い香気成分を生成し, 同定の結果γ-decalactoneとγ-dodecalactoneと判明した。その生成経路につき, また伝統的に使用しているビール余剰酵母の酒質に及ぼす影響をも検討した。