抄録
分層採皮創の局所管理法については多くの方法があり統一されていない. 採皮直後の創は強い疼痛を伴うことが問題となるが, 一次的なドレッシングとしてハイドロゲル創傷被覆・保護材を用いるとドレッシング交換時の疼痛が少ない. しかしハイドロゲルによる被覆のままでは上皮化が進まないために, 除去してから二次的にドレッシングを行う必要がある.
当院ではハイドロゲル創傷被覆・保護材除去後の管理について, 親水性ゲル化創傷被覆・保護材を生理食塩水にてゲル化したうえで採皮創を被覆する工夫を行っている. 二次的なドレッシングとして親水性ゲル化創傷被覆・保護材をゲル化し, 高水蒸気透過性ポリウレタンフィルムで被覆する方法にて, 上皮化までの期間および感染の有無について観察した. 上皮化までの期間の遷延はなく, 採皮創の感染は認めなかった. 特に小児の広い採皮創でも, 疼痛の訴えがなくスムーズに上皮化まで導くことができた. 本法は分層採皮創の局所管理として有用と考える.