熱傷
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症例
肘関節周囲の電撃傷に対する逆行性外側上腕皮弁と穿通枝プロペラ皮弁による治療経験
菊地 憲明矢野 亜希子
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2021 年 47 巻 2 号 p. 60-66

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抄録
 1,000ボルト以上の高圧電撃傷による肘関節周囲の肘窩拘縮と肘頭周囲の深達性潰瘍の2例に対して, 逆行性外側上腕皮弁と後橈側側副動脈穿通枝プロペラ皮弁による再建を行い, よい成績が得られたので報告する. 症例1は15歳男子で, 鉄道駅構内の高架線から右足に放電し右手にかけて感電 (20,000ボルト) した. 右下腿および前腕のコンパートメント症候群に対して筋膜切開を要した. 肘窩拘縮に対して受傷11ヵ月目に逆行性外側上腕皮弁で再建を行った. 症例2は78歳男性で, 変電所の点検作業中に架線に左肘が接触して受傷した (3,810ボルト). 肘頭部の手掌大の深達性潰瘍を受傷6週間後に穿通枝プロペラ皮弁で再建した. 逆行性外側上腕皮弁では島状皮弁としたためうっ血がみられたが, 両症例とも全生着した. 皮弁は薄く柔軟で肘関節の可動域獲得に有効であった. 穿通枝プロペラ皮弁の手術時間が短く, 挙上は容易であった.
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© 2021 一般社団法人 日本熱傷学会
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