熱傷
Online ISSN : 2435-1571
Print ISSN : 0285-113X
症例
広範囲熱傷に対してbFGF徐放性人工真皮を使用したサンドウィッチ法の経験
-自家培養表皮(Hybrid法)との比較-
山本 健登田中 真美有沢 宏貴石川 早紀伊藤 悠介浅井 晶子横尾 和久古川 洋志
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2021 年 47 巻 2 号 p. 67-71

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抄録
 広範囲熱傷において, 不足する自家皮膚を補う方法として自家分層網状植皮と自家培養表皮を併用するHybrid法や, 自家分層網状植皮の上に人工真皮を貼付するサンドウィッチ法などが報告されてきた. 今回われわれは, 全身熱傷を受傷した症例でサンドウィッチ法にbFGF徐放性人工真皮を用いたので, その結果をHybrid法との比較を交えて報告する.
 受傷部位の多くにHybrid法を施行したが, 一部自家培養表皮が足りなかった部分に人工真皮サンドウィッチ法を施行した. 使用したbFGF徐放性人工真皮にはbFGFスプレー500μgを噴霧し, 浸漬させて加工し貼付した.
 人工真皮サンドウィッチ法を行った部位, Hybrid法を行った部位のいずれも1週間後に生着を認め, 3週間後には上皮化が完了した. 半年後の瘢痕の性状に差異はなかった.
 本植皮法は, Hybrid法を施行した部位と比較して生着率や上皮化に要した時間はほぼ同等であり, 培養に時間を要しない点や医療コストの面からも熱傷の治療に有用である可能性が示唆された.
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© 2021 一般社団法人 日本熱傷学会
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