熱傷
Online ISSN : 2435-1571
Print ISSN : 0285-113X
症例
小児前胸腹部深達性Ⅱ度熱傷に対する自家細胞採取・非培養細胞懸濁液作成キットの使用経験
山田 尚弘辻本 雄太蔵増 優根本 信仁武田 健一郎森野 一真福田 憲翁
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2023 年 49 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

 「RECELL®自家細胞採取・非培養細胞懸濁液作成キット」は, 自身の1cm2皮膚片から80cm2の熱傷創に上皮化効果をもたらす自家細胞懸濁液を作成するキットである. 熱傷の新たな治療として, 従来の標準的な植皮術にくらべ, より少ない採皮面積で同等の治療効果を得られると報告されている.
 今回, 熱性液体により前胸腹部を中心に熱傷面積15%のⅡ度熱傷を受傷した1歳女児に対して, 受傷から26日目に分層植皮術と自家細胞懸濁液を併用した外科的治療を行った. 標準的な植皮術と比較して採皮面積を32%縮小でき, 術後6日目には創閉鎖を達成した. 採皮部にも自家細胞懸濁液を使用し, 術後4日目でほぼ上皮化が完了した.
 小児熱傷の治療において, 自家細胞懸濁液の併用によって, 採皮面積の縮小と採皮創の上皮化促進が期待される.

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© 2023 一般社団法人 日本熱傷学会
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