熱傷
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症例
血小板数増加により偽性高カリウム血症を認めた13%熱傷の1例
池田 憲祐海田 賢彦田中 佑也吉川 慧加藤 聡一郎井上 孝隆山口 芳裕
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2023 年 49 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

 血小板数の増加により偽性高カリウム (以下はK) 血症をきたすことがあるが, 熱傷患者に関する報告はない. 今回13%熱傷患者の加療中に血小板の増加により偽性高K血症を認めた症例を経験したので報告する.
 症例は20代, 男性. 腹部, 背部, 右上下肢に計13%のⅡ度熱傷を受傷した. 第3, 10, 17病日に手術を行い上皮化は良好であった. 血小板数は入院時27.6×104/µLであったが, 数日後より上昇し第16病日には71.7×104/µLになった. 一方, 血清K値は入院時4.2mEq/Lだったが, その後上昇し第14病日には5.4mEq/Lになった. Kの過剰投与や細胞内からの遊離, 排出障害は否定的であり, 第10, 17病日の血漿K値は血清より0.4, 0.6mEq/L低く, 血小板数の増加による偽性高K血症と診断した. 第31病日に自宅に退院した.
 熱傷患者が血小板数の増加を認めた際には偽性高K血症の可能性に留意する必要がある.

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© 2023 一般社団法人 日本熱傷学会
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