2012 年 52 巻 September 号 p. 309-315
要 旨:大腿膝窩動脈にnitinol stentを留置した閉塞性動脈硬化症54症例の治療成績と再狭窄の危険因子について検討した。初期成功は100%で,再狭窄は20%に認められた。一次開存率は,1年84%,2年75%,3年69%,二次開存率は1年98%,2,3年95%であった。再狭窄に関与していた因子は,参照血管径,脂質異常症,病変長であり,閉塞病変が含まれずまた参照血管径が関与している等,stainless steel stentとは異なる結果であった。同領域の成績向上のためには,基礎疾患の管理を厳重に行うとともに,血管径の小さい症例においては短区域病変であればcutting balloonカテーテルを使用したり,狭窄病変でも長区域であればバイパス術を考慮する等,慎重に治療法を決定する必要がある。また危険因子を有する症例のステント留置後に,とくに入念にduplex scanを行うことにより二次開存率を向上させることができる。