抄録
遺伝子 (mRNA) 発現量がタンパク質合成の量的指標となって久しいが,実際には両者の相関関係は低いことが多い.近年,翻訳活性化状態にある mRNA をリボソームプロファイリングによって詳細に解析することで定量する技術が開発され注目を浴びつつある.そこで本総説では,マイクロアレイなどの遺伝子発現の網羅的解析技術が抱えていた問題点,特に翻訳制御機構を含む転写後調節を考慮していなかった点に言及しつつ,これらの問題がリボソームプロファイリングによって大きく改善されることを概説する.さらに,同技術の特性を生かした新たなバイオマーカーの発見の可能性を探る.