日本補完代替医療学会誌
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原著
クレソンのマウス二段階皮膚発癌実験における腫瘍発現の抑制効果
安川 憲 菅野 浩北中 進柳本 佳子
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2016 年 13 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
癌予防は,公衆衛生分野の重要な問題である.東洋諸国では,杜仲樹皮が強壮や抗高血圧に使用されている.杜仲樹皮は,マウスでTPAによって誘発された炎症を抑制した.我々は,1 mg/mouseの用量で杜仲樹皮メタノールエキスが,DMBAでイニシエーションをしたマウスのTPAによる腫瘍促進抑制を証明した.この結果は,杜仲樹皮の癌予防の可能性を示唆している。 癌予防は,世界的に公衆衛生の分野で最も緊急の問題のうちの1つである.クレソン( Nasturtium officinale)のメタノール抽出エキスは,マウスにおける12-O-tetradecaonoylphorbol-13-acetate (TPA)により誘発された耳浮腫を抑制した.抽出物は,イニシエーター7,12-dimethylbenz[a]anthraceneとプロモーターTPAによる発癌二段階試験で著明な抑制効果を示した.メタノール抽出物から,活性成分としてsitosterol 3-O-glucopyranosideが単離同定された.この化合物は, TPAが誘発する炎症を299 nmol/earの50%抑制容量を示した.これらの結果は,クレソンが癌予防に有効である事が示唆された.
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