日本補完代替医療学会誌
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原著
精油の香りと嗜好が健常人の血圧・脈拍に及ぼす影響
森 広子小林 章子吉川 沙苗山下 仁
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2009 年 6 巻 3 号 p. 137-142

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抄録

目的:精油が循環器系に与える影響に注目し,血圧と脈拍に対する効果を評価した.
方法:昇圧作用があるとされているローズマリーと,降圧作用があるとされている真正ラベンダーの 2 種類の精油を用いた.被験者 60 名を,ローズマリー群,真正ラベンダー群,およびコントロール群の 3 群に分け,2 分間の香り吸入前後に血圧・脈拍測定を行い,さらに香りに対する嗜好を 10 段階で評価し,香りの嗜好が血圧・脈拍に及ぼす影響も検討した.
結果:ローズマリー吸入後に有意な脈拍上昇を認めた.また,ローズマリーの香りに否定的な感情をもった被験者群では,吸入後の拡張期血圧上昇傾向を認めた.一方,真正ラベンダーの香りに否定的な感情をもった被験者群では,吸入後の脈拍上昇傾向を認め,「肯定群」「否定群」間で収縮期血圧と脈拍における吸入前後の変化のパターンに有意差が見られた.
結論:精油成分から想定される効果だけでなく,香りに対する好き嫌いが,生体反応に影響を与える事が示唆された.

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© 2009 日本補完代替医療学会
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