抄録
脳梗塞急性期の虚血性脳障害メカニズムには,酸化ストレスの関与が大きく,また血流の再開による過剰の活性酸素種の産生により脳細胞にアポトーシスが誘発される.本研究では,虚血性脳障害に対する椎茸菌糸体培養培地抽出物 (LEM) の保護効果について,マウス低酸素脳虚血 (H/I) モデルを用いて検討した.
LEM を 0.5%または 1%の割合で混合した飼料を,マウスに 14 日間自由摂取させた後,一側の総頸動脈結紮および低酸素負荷による H/I 処置を行い,体内酸化ストレス度,神経症状,脳梗塞巣体積,および脳細胞のアポトーシスを評価した.
LEM 摂取群では,対照群と比較し,H/I 後の体内酸化ストレス度の上昇が抑制された.また,虚血障害による神経症状が軽減し,脳梗塞巣体積および海馬,皮質のアポトーシス陽性細胞数が有意に減少した.これらの結果から,LEM は酸化ストレスを抑制し,虚血性脳障害に対して脳保護作用を示すことが示唆された.