目的:マウスにおける食品摂取と運動トレーニング (EX) が酸化ストレス防御系や運動能力へおよぼす影響について検討した.
方法:対象は雄性マウス 46 匹とし,無作為に還元型コエンザイム Q10 (H
2CoQ10: QH) 摂取群,QH 摂取+EX 群,EX 群,コントロール群の 4 群に区分した.全群は研究開始時と研究開始 3 ヶ月,6 ヶ月,9 ヶ月の各時点においてラット用トレッドミルにて限界走行させ運動能力(走行時間)を測定した.酸化ストレス防御系は活性酸素・フリーラジカル分析装置を使用し,研究開始時と 6 ヶ月の時点で酸化ストレス度 (d-ROM test) と抗酸化力 (BAP test) を測定し,d-ROM/BAP 比を算出した.また,9 ヶ月の時点では速反応性/遅反応性抗酸化力 (ANTI-ROM test),血漿 QH 値と血漿 Q10 値を測定し,還元比率を算出した.
結果:運動能力は短期効果として QH 摂取と EX の併用により走行時間の延長を,長期効果として EX の有無にかかわらず QH 摂取により走行時間の延長を認めた.酸化ストレス防御系は d-ROM test などにおいて QH 摂取と EX の併用による影響を認めなかったが,血漿 QH 値や還元比率では高値を認めた.つまり,QH 摂取と EX の併用は運動によって生じた過剰な酸化ストレスに対して抗酸化作用が賦活化された状態であることが示された.
結論:QH 摂取と EX の併用は運動能力や還元比率などの酸化ストレス防御系に影響をおよぼすことが明らかになった.
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