ヒトゲノム計画が2003年に完了し,ヒトの遺伝情報であるゲノムは解読できたが,遺伝子がコードするタンパク質の役割の全貌は未だに明らかではない.タンパク質が生体内でどのように働いているのかを解明することで,その機能異常による問題を理解することができる.近年,次世代シーケンサーを用いて短時間で大量のDNAの塩基配列を解析できるようになり,個の医療や遺伝性疾患および臨床診断学等の分野に変革がおきている.自閉スペクトラム症等の神経発達症者において数多の遺伝子変異が報告されており,1000を超える自閉スペクトラム症関連遺伝子がリスト化されている.しかし,遺伝子解析では変異遺伝子由来のタンパク質にどのような問題が生じているのか,その分子メカニズムは分からない.神経発達症に関わる変異遺伝子とそれがコードするタンパク質がどのように発現し機能しているのかを培養細胞やモデルマウス等を用いて分子細胞生物学的に解明することは神経発達症の理解に不可欠であり,臨床研究への橋渡しにも必須である.