抄録
【はじめに】足関節果部骨折は骨折部の転位や遠位脛腓関節の不安定性の存在による将来的な関節症性変化への移行が問題となるため、正確な整復と固定が重要となる。今回、全荷重後に骨折部の離開を呈した足関節果部骨折に対し足底挿板療法が有効であった症例を経験したので報告する。
【症例】40歳代の女性で掃除中に転倒して足部を捻り受傷した。8日後に観血的整復固定術が施行され、術後5日目より運動療法が開始となった。脳性麻痺による左片麻痺が認められたが、歩行は杖なし独歩自立であった。
【経過】術後3週でギプスシャーレとなり足関節のROM訓練を開始した。足関節および足趾の随意性はほとんど認められず痙性による内反尖足を認め、ROMは背屈-10°、底屈30°であった。tension band wiringの固定性に配慮しROM訓練は筋の不均衡による内反を伴った背屈にならないよう他動運動を中心に行った。術後7週で全荷重での歩行を開始し、T字杖歩行が可能となったが歩行時痛を訴えた。術後8週のレントゲンにて外果骨折部の離開が疑われた。ストレステストにてショパール関節ならびに母趾リスフラン関節の疼痛と不安定性を認め、歩行において踵離地が早くなり内側ホイップが出現していたため足底挿板を作成した。直後より歩行時痛は消失し、2ヶ月間の経過観察後運動療法を終了した。
【考察】足関節果部骨折の運動療法としては、軟部組織の癒着防止と伸張性の維持を目的として、早期から足趾の自動運動や等尺性運動が選択されることが一般的であるが、本例は脳性麻痺による左片麻痺があり他動運動を選択せざるを得ず、背屈制限が残存していた。歩行時の疼痛ならびに骨折部の離開が生じた原因としては、背屈制限により踵離地が早くなり内側ホイップを生じるとともにショパール関節およびリスフラン関節には外転ストレスが、距骨には外旋ストレスが発生したためと考えた。足底挿板療法としては踵部の補高と踵接地時の踵骨の直立化を保持することで下腿の前傾を促し、内側ホイップならびに足部の外転制動を図った。