抄録
プラスチック廃棄物のリサイクル技術向上のために,近赤外分光測定とニューラルネットワーク解析を組み合わせて,ポリエチレンの密度を迅速に識別する手法を検討した. 市販のポリエチレンのペレットもしくは粉末23種類(密度範囲:0.898-0.962 g cm-3)について,波長1.1~2.2 μm領域の近赤外反射スペクトルを測定した後,二次微分処理を行い,3層構造のニューラルネットワークでバックプロパゲーション法にて学習を行い,leave-one-out法による予測テストを行った.その結果,少数の学習データを用いたにもかかわらず,ポリエチレンの密度は平均誤差0.00026 g cm-3以内で予測可能であることを確認した.比較として主成分回帰分析及びPLS回帰分析を行ったところ,その平均予測誤差はそれぞれ,0.0043 および 0.0031 g cm-3であった.近赤外分光測定とニューラルネットワーク解析を組み合わせるとポリエチレンの密度が正確に予測可能であることが分かった.