Journal of Computer Chemistry, Japan
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研究論文
欠測データを含むデータの解析が可能な多階層型ニューラルネットワークシミュレーション(CQSAR)法を用いた河川の上流および中・下流を示す水質パラメータの抽出- 東京多摩川の水質データ(1994~2002)を用いて -
神部 順子袁 えん長嶋 雲兵青山 智夫
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2006 年 5 巻 4 号 p. 201-212

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抄録

1994年から2002年までの東京多摩川の水質データ(Tables 3 -5)に関し,上流および中・下流を示す水質パラメータを抽出することを試みた.2000年からのデータは欠測を含み,その欠測データはもはや再測定不能である.そこで,欠測データを含むデータの解析が可能な多階層型ニューラルネットワークシミュレーション(CQSAR)法を適用した.
水質検査項目の12種類のパラメータ(Table 2)のうち,河川の清浄度を示すパラメータとして溶存酸素(DO)と全燐(T-P)が重要であることが判った.さらに上流および中・下流の分類の検定で,第6地点を上流と中流の境界とすべきであることが判った(Table 8, Figure 4, Figure 5). DOは全領域で水質汚染が進んでいることを示している(Figure 4)が,T-Pは中流と下流で水質改善がなされていることを示した(Figure 5).
水質汚染という観点からみると,多摩川では上流から中流域の水質の変化に比べて中流から下流域の水質変化の方が緩やかであることが判った.このことにより多摩川の水質保全には,中流域での汚染原因を取り除くことが重要であることが示唆された.

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© 2006 日本コンピュータ化学会
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