2019 年 7 巻 p. 44-51
日本では都市化や核家族化に伴って在宅死が減少し,今や病院死の割合は約80%にものぼり,急性期病院でも終末期患者のケアの充実が課題となっている。急性期病院である順天堂医院の看護記録には,終末期の患者特有の苦痛を表す表現として,「身の置き所がない」という表現がしばしば使われている。本稿では,当院で看取られた患者の,臨死期の電子カルテの内容を確認し,まず「身の置き所がない」というアセスメントがされた経緯を考察した。考察の結果,終末期患者に特有の苦痛が,進行中の治療では十分に緩和ができていないと看護師が判断した場合に,「苦痛の原因を早急に特定し治療の幅を広げる必要がある」ことを含有した表現として,「身の置き所がない様子」という表現を使用していた。このような場面において,患者の治療の幅を広げるために必要なケアのあり方を倫理的観点から考える。