抄録
蛍光観察技術を用いて細胞内部の物質を観察し,それの動態を解析することによって,各種疾病機構の原因解明が期待できる.現在,その動態解析作業は研究者の目視で行われており,これには要望に伴って増大する膨大な労力が必要である.本研究では,物質の動態解析を自動化することを目的とし,特に蛍光観察された物質のトラッキング自動化を試みる.映像中の物質のトラッキングでは,まず追跡対象物体の候補位置を,各フレームにおいて複数検出しておく.そしてそれら候補位置を極力滑らかになるように繋いでいく.様々に考えられる繋ぎ方のうち,最も平滑すなわちフレーム間移動量の少なくなるものを,大局的に最適なトラッキング結果とする.