抄録
医用画像撮影装置の進歩により高精細な画像を短時間で得ることが可能となった.一方で,一度の撮影で生成される画像枚数が増大したことによる読影医への負担増加が懸念されている.そこで,医用画像を定量的に解析し,医師に“第二の意見”として提示するためのコンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnosis:CAD)システムに期待が寄せられている.CADシステムにおいて,対象臓器の抽出処理は解剖学的な構造の把握や病変部検出の前処理として重要である.本論文では,腹部造影MR画像を対象とし,肝臓領域を自動抽出するための画像解析手法を提案する.提案手法を4症例に適用し,実験結果に対する考察と今後の課題を述べる.