抄録
東南アジア諸国に属するベトナム社会主義共和国では、急激な経済成長を遂げる一方、都市部ではインフラ整備の遅れにより深刻な交通渋滞を引き起こしている。年々増加するバイクの交通量に加え、無秩序に発せられるクラクションにより、都市部で生活する人々は騒音による健康被害に曝されている。都市のいたる場所で75dBを超える高い騒音レベルの環境下にありながら、生活する住居では鎧戸状の開閉窓が広く一般に使用されている。しかし開閉窓は鎧戸の形状であるため、交通騒音は窓の隙間から直接室内に伝搬し、窓を閉めた状態であっても騒音低下の効果は期待できない。このような問題を解決すべく、本研究では初期実験としてベトナムにおいて鎧戸状の開閉窓の音響特性を測定した。