抄録
微細流路内で細菌を操作する手法として、誘電泳動力を利用した手法がある。この手法は通常バッファー交換処理等の前処理を行って低導電率溶液中で行われる。高導電率溶液中で細菌操作を行うことができれば、バッファー交換等の前処理を省略でき、生理的環境に近いため細菌に適しているといえる。しかし、高導電率溶液中では溶液を流れる電流が大きくなり、熱の発生による細菌への影響が問題となる。筆者らは、溶液の温度上昇の抑制を目的として新たな電極構造を提案した。本報告では、有限要素法を使用して本電極構造による溶液温度の上昇と細菌濃縮を数値計算した結果を報告する。