抄録
ティンパニは,太鼓のようにヘッドを持つ楽器でありながら半球状の胴(ケトル)を持ち,音高感のある音を出すことができる有音打楽器である.ティンパニ奏者は叩く位置を微妙に変化させることでその曲に適した音色を表現している.しかし,一般的なティンパニの指書者には,その打撃位置は「外側から中心に向かってヘッドの半径3分の1から4分の1の点」という曖昧な記載がされている.よって,本研究ではティンパニの周波数特性を調べ,打撃位置における音色の違いを固有モードの観点から解明を行う.またこの結果を基に,プロのティンパニ奏者を交え打撃位置における音色の指標を作り,教則本への記載や初等教育での部活動指導に貢献する.