抄録
高い表面平坦性や均一性といった優位性から,アモルファスITO(a-ITO)を用いた透明導電膜が近年注目されている.我々はN2/Arスパッタリング法を用いて高移動度a-ITO膜の作製に成功した.本研究では,ITO薄膜の成長過程における窒素の影響を調べるため,N2/Arプラズマ中の窒素原子の絶対密度計測を行った.N2流量比を3から5%に変化させたとき,プラズマ中の窒素原子密度は3.7×1010から7.4×1010 cm-3に単調に増加することがわかった.このときa-ITO膜のキャリア移動度は48から55 cm2/Vsに増加した.一方,膜中の窒素濃度は殆ど一定であったため,上述のキャリア移動度の変化は,成長表面における窒素原子の吸着・脱離反応の変化によるものと考えられる.