抄録
組成制御は半導体の物性制御において重要である.最近我々は新材料ZnInON(ZION)を開発し,組成によりバンドギャップが可視域全域において制御可能であることを見出した.ZIONはZnOとInNの擬2元系混晶であり,化学量論組成(ZnO)x(InN)1-xからのずれにより結晶欠陥が生じることが分かっている.本研究では真空紫外吸収分光法により成膜雰囲気中のO原子及びN原子の絶対密度計測を行い,組成の精密制御を実現した.また(ZnO)0.94(InN)0.06において,1.2%の格子不整合率を有するZnO膜上へのZION膜のコヒーレント成長に成功した.これは化学量論組成の実現により結晶欠陥密度が低減したためと考えられる.