抄録
誘導機の高効率化のため,磁界解析が盛んに行われ,近年では,三次元解析も行われるようになっている.しかしながら,時定数が大きい誘導機の解析では,定常解を得るまでに多くの時間ステップを必要とし,計算時間が膨大となる.そのため,定常解が直接得られる複素数近似法を用いて,時間ステップの初期値を決定する方法が提案されている.鉄芯の各要素に与える透磁率を決定する方法として,初期値を与える時刻の磁束分布,時間的な最大磁束密度の分布により決定する方法などが提案されているが,優劣比較が行われていない. そこで今回,誘導機の定常解を求める際の初期値の決定に複素数近似法を用いる場合の鉄芯の各要素に与える透磁率の各種決定法について検討したので報告する.