抄録
医療用のマイクロマシンや歯科用アタッチメント等,人体と直接的な接触が考えられるデバイスに磁石膜を用いる場合,優れた磁気特性に加え,高い耐食性や生体適合性も重要となる。本研究室では,このような条件を満足する材料としてFe-Pt合金に着目し,めっき法を用いたFe-Pt磁石膜を報告してきた。従来の検討で,クエン酸をベースとするめっき浴にてNaOHを用いてpHを4程度に調整することで高い保磁力が得られることを示した。NaOHはpH調整にしばしば用いられる試薬であるが,劇物に指定されており,また潮解性も強いことから,工業的には扱いにくい試薬の一つである。そこで本研究ではpH調整剤を変更し,浴の安全性・ 取扱性を改善した。