抄録
白金系磁石膜は,高い生体安全性を有していることから,医療用小型磁気デバイスへの応用が期待されている。本研究室ではこれまでに,形状自由度が高く,常温・常圧下で成膜が可能であるなど,工業的利点が多いめっき法を用いたCo-Pt磁石膜に関して検討を行ってきた。従来のCo-Pt膜に関する検討においては,保磁力こそ大きな値が得られていたものの,厚い膜の作製が困難であった。我々は最近,従来のCo-Ptの検討とは全く異なるコンセプトのめっき浴を用いることで,適度な保磁力を有する数十μm厚Fe-Pt膜を実現した。本研究では,Fe-Ptよりも高い保磁力の期待されるCo-Pt系磁石膜へ同コンセプトを適用し,その基礎特性を評価したのでその結果を報告する。