抄録
磁性デバイスの小型化の代表的な手法の一つとして,駆動周波数の増加が挙げられるが,同時に渦電流損失の増大を招くため,抵抗率の増加や板厚の低減などの対策が必要となる。最近我々はめっき法を用いた軟磁性薄帯作製法を提案し,10 μm以下の薄い薄帯を実現した。この薄帯の交流特性を評価したところ,板厚低減による渦電流損失の低減効果が確認され,更なる低損失化には,ヒステリシス損失の低減が必要であることを確認した。めっき法では浴組成やめっき条件によって膜内に電着応力が残留し,薄帯の磁気特性に影響を与えると予測される。本研究では電着応力緩和を目的に熱処理を行い,熱処理が薄帯の磁気特性に与える影響を検討した。