抄録
消音ギターは、通常のギターのボディー部分を廃した楽器である。消音ギターで音を増幅させて聞く場合は、ヘッドホンで演奏音を聞くことができる。通常のギターであればボディー特性や部屋の響きによって音が変化するが、消音ギターの場合、音の広がりのない無機質な音に聞こえてしまう。そこで、本研究はボディー特性や部屋の響きを電気的に合成し、通常のギターに近い音を実現することを目的とする。通常のギターの放射音特性・空間特性・両耳特性を再現する楽器音生成フィルタとギターの定位感を演出する頭部運動追従システムを適用し、主観実験を行った。実験の結果、提案手法により通常のギターの音に近づけることができた。