抄録
がんは,昭和56年から現在に至るまで日本人の死因の第一位となっている.がんの治療・治癒には早期発見が最重要であり,簡便に検査でき,高精度でがんを検出する方法が求められている.現在,がんの検出方法は,液体クロマトグラフ装置等を用いて患者の血液・尿からがんを特定可能な有機化合物(以下,腫瘍マーカ)の含有量が基準値を外れた場合に,がんを疑い病理検査等で,数日を要してがんの有無を判断する.本研究では,簡便に採取できる尿中に存在する腫瘍マーカのホモバニリン酸に着目し,短時間で検出可能な表面プラズモン共鳴(SPR)センサと抗原抗体反応を組み合わせて検出を試みた.