窯業協會誌
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Ni-Znフェライト焼結体及びBaフェライト焼結体の破壊靭性
西川 友三岡本 泰則稲垣 茂樹桑畑 研二田崎 学
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1983 年 91 巻 1053 号 p. 240-250

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抄録

Ni-Znフェライト及びBaフェライト焼結体の室温から1000℃までの破壊靱性KIcを測定した. Controlled Surface Flaw法によって得た室温KIcはNi-Znフェライトで1.50±0.12MN/m3/2, Baフェライトで2.97±0.16MN/m3/2であった. Indentation Fracture法ではビッカース押し込み荷重や評価式の点で問題が認められ, 適用に充分の配慮の必要なことが指摘できた. 室温破面の様相は, 平坦な粒内割れ破面を示すNi-Znフェライトに対してBaフェライトは粒界割れ又は個々の粒子内での特定面のへき開に基づくとみられる凹凸の多い破面を示した. 高温下では. Ni-Znフェライトの場合600℃から導入傷先端の鈍化によるKIcの上昇がみられ, 900℃以上では破壊源が粒界へ移り, KIc, 破壊応力ともに低下した. 900℃以上の破面はほとんどすべて粒界割れとなり, 導入傷以外の異常大粒子からの破壊が多く見られた. Baフェライトでは, 昇温に伴うKIcの一様な低下が見られた. しかし, 800℃以上では導入傷先端の鈍化がやはり推定できた. 破面の様相は温度によつて大きな差がなかったが, 高温での大粒子よりの破壊は更に頻繁であった. Ni-Znフェライトでは, 傷を導入しない抗折試験から曲げ強度価もKIc同様の温度依存が認められ, 加工傷の鈍化による強度の最大点が~700℃に観察された.

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© The Ceramic Society of Japan
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