結晶質の酸化物ソルダーによるサファイアとNb及びTa金属との封着を行った. そして封着界面部を光学顕徴鏡やX線マイクロアナライザーにより調べた.
得られた結果は次のとおりであった.
(1) 本酸化物ソルダー法はサファイアとNb及びTa金属とを真空気密に封着することができた.
(2) 封着に使用される前のソルダーは, CaO, Al
2O
3, MgO, B
2O
3の各結晶で構成された混合物であった. このソルダーは封着後, 結晶化ガラスになった. 封着金属としてNb金属を使用した場合とTa金属を使用した場合とでは, このソルダーの結晶化の様相は異なっていたが, それらの結晶構成は同じであり, その主結晶は3CaO・Al
2O
3, CaO・Al
2O
3及びMgO・Al
2O
3であった.
(3) NbとTa金属が使用された場合に, NbとTaのソルダー中への拡散状態は異なり, Nb濃度に比較して, Ta濃度は界面から約10μmまでについて比較的高かった. このことに関連して, 封着界面近傍部の様相等にも差がみられた. 封着時のNbとTa金属の酸化の差がこのような差異をつくったものと考えられた. そして, このことは熱化学的計算により確認された.
(4) ソルダー成分のB
2O
3が封着及びその歩留まりに効果的に作用した.
(5) サファイアとソルダーとの封着は, 封着時に溶融状態になっているソルダー中にサファイアが溶出拡散し, 遷移層をつくることにより完成されると解釈された.
(6) Nb及びTa金属とソルダーとの封着は, Nb及びTa金属表面層が雰囲気中の酸素等により酸化され, 酸化ニオビウム, 酸化タンタルとなり, これらの生成された金属酸化物がソルダー中に溶出拡散し, 遷移層をつくることにより完成されると解釈された.
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