脳神経外科ジャーナル
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CNSリンパ腫に対する治療の進歩 : Methotrexate大量療法より
大西 丘倫吉峰 俊樹
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2001 年 10 巻 3 号 p. 135-141

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抄録

CNSリンパ腫に対する最新の治療法としてmethotrexate(MTX)大量静脈内投与による化学療法について述べた.特に, 大量MTXの急速(3時間)投与により, 最小治療濃度を上回る髄液内MTX濃度が得られ, 著明な腫瘍縮小効果も得られた.MTX急速大量療法による奏効率は89.5%で, 生存期間中央値は60カ月以上, 5年生存率は62%と, 従来の治療成績を大きく上回る結果を得た.副作用として, 急性期の骨髄機能障害は軽度であったが, 晩発性の神経障害としてleukoencephalopathyと考えられる進行性痴呆症が3例(16%)にみられた.現在, CNSリンパ腫に対して, MTX大量療法は標準化学療法となりつつあるが, 晩発性神経障害, 耐性, 併用薬剤等いくつかの解決すべき問題が残っている.

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© 2001 日本脳神経外科コングレス
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